認知症×脂質異常症の知られざる関係と介護のヒント

「認知症のケアだけで精一杯なのに、さらに生活習慣病の管理まで……?」 「薬の種類が増えて、副作用が心配……」 「何をどう改善すればいいのか分からない……」

そのような不安を抱えていらっしゃいませんか? ご安心ください。私は薬剤師としての専門知識と、多くの介護現場に関わってきた経験があります。 この記事では、認知症と脂質異常症の深い関係、服薬管理の注意点、生活習慣改善のヒント、そして介護者としての関わり方について、薬剤師ならではの視点で、分かりやすく解説します。

この記事を読み終える頃には、認知症と脂質異常症を併発している方へのケアに、確固たる自信と、具体的な行動へのステップが見つかるはずです。

1. そもそも「脂質異常症」って? なぜ怖い?

まず、脂質異常症とは、血液中のコレステロールや中性脂肪(トリグリセリド)のバランスが崩れた状態のことです。 大きく分けると、以下の3つのタイプがあります。

  • LDLコレステロール(「悪玉」コレステロール)が多い
  • HDLコレステロール(「善玉」コレステロール)が少ない
  • 中性脂肪が多い

特に、LDLコレステロールが多い状態が続くと、血管の壁にコレステロールがたまり、血管が硬く、狭くなってしまいます。 これが「動脈硬化」です。

「動脈硬化が進むと何が怖いの?」と思われるかもしれません。 動脈硬化は、全身の血管で静かに進行します。 心臓の血管が狭くなれば狭心症や心筋梗塞、脳の血管が狭くなれば脳梗塞のリスクが高まります。 つまり、脂質異常症をほっておくと、命に関わる大きな病気を引き起こす可能性があるのです。

そして、これが認知症とも深く関わってくるのです。

2. 驚きの事実:脂質異常症は認知症の「重大なリスク因子」

これまで、脂質異常症は主に心臓や脳の病気のリスクと考えられてきました。 しかし、最近の研究では、認知症の、特に「アルツハイマー型認知症」や「血管性認知症」の発症・進行と強く関連していることが明らかになってきています。

WHO(世界保健機関)が2019年に発行した「認知機能低下および認知症のリスク低減に関するWHOガイドライン」では、脂質異常症が認知症の発症リスクであることが明確に指摘されています。

ガイドラインでは、中年期の高コレステロール血症は、後年のアルツハイマー型認知症の発症リスクを約2倍に高めるとされています。 また、血管性認知症についても、動脈硬化が進行することで、脳の血流が悪くなり、脳細胞がダメージを受けるため、脂質異常症はその大きな原因となります。

つまり、脂質異常症を適切に管理することは、心血管疾患の予防だけでなく、認知症の予防、そして進行を緩やかにするためにも、極めて重要なのです。

3. 薬剤師が教える、脂質異常症の薬の種類と「語尾の法則」

脂質異常症の治療では、食事や運動などの生活習慣改善が基本ですが、それだけでは十分でない場合、薬が処方されます。 介護者の方々も、患者さまがどのような薬を飲んでいるのかを知っておくことは大切です。 ここでは、代表的な薬の種類と、覚え方のコツをご紹介します。

代表的な薬の種類

  1. スタチン系(HMG-CoA還元酵素阻害薬): 最もよく使われる薬です。肝臓でのコレステロール合成を強力に抑えます。主にLDLコレステロールを下げる効果があります。 (例:アトルバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン)
  2. フィブラート系: 中性脂肪(トリグリセリド)を下げる効果が強く、HDLコレステロールを上げる効果もあります。 (例:フェノフィブラート、ベザフィブラート)
  3. その他:
    • エゼチミブ(小腸コレステロール吸収阻害薬): 小腸でのコレステロール吸収を抑えます。スタチン系と併用されることが多いです。
    • PCSK9阻害薬(注射薬): 強力なLDLコレステロール低下効果があり、スタチン系で十分な効果が得られない場合に使われます。
    • EPA・DHA製剤: 中性脂肪を下げる効果があります。

「語尾の法則」で覚えよう!

薬の名前を覚えるのは大変ですが、実は「語尾」に特徴があることが多いのです。

  • 「~スタチン」: 主にコレステロールを強力に下げる薬(スタチン系)
  • 「~フィブラート」: 中性脂肪をメインに下げる薬(フィブラート系)

このように、語尾を見るだけで、ある程度薬の種類が推測できます。 ぜひ、患者さまのお薬手帳や薬の袋を確認してみてください。

4. 薬の注意点:副作用と飲み合わせ(相互作用)

薬は効果がある反面、副作用の可能性もあります。特に、認知症と脂質異常症を併発している方の場合、副作用に気づきにくいことがあるため、介護者の方の見守りが重要です。

注意すべき副作用

  1. 横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう): スタチン系やフィブラート系で、ごく稀に起こる重篤な副作用です。筋肉の細胞が壊れ、筋肉痛、手足のしびれ、力が入らない、尿が赤褐色になる(コーラ色)などの症状が現れます。 特に、スタチン系とフィブラート系を併用する場合や、腎機能が低下している場合にリスクが高まります。 介護現場では、患者さまが急に「足が痛い」「力が入らない」と言い出したり、歩きにくくなったり、尿の色が変わったりした場合は、すぐに医師や薬剤師に相談してください。
  2. 肝機能障害: 多くの脂質異常症の薬で、肝臓への負担がかかることがあります。定期的な血液検査で、肝機能の数値をチェックすることが大切です。 介護現場では、食欲不振、だるさ、黄疸(皮膚や目が黄色くなる)などの症状に注意してください。
  3. 胃腸障害: 薬の種類によっては、便秘や下痢、腹痛などの症状が出ることがあります。

注意すべき飲み合わせ(相互作用)

  1. グレープフルーツ: 一部のスタチン系薬(アトルバスタチンなど)は、グレープフルーツ(ジュースも含む)に含まれる成分によって、薬の分解が妨げられ、効果が強まり、副作用のリスクが高まることがあります。 食事介助の際、グレープフルーツを避けるよう、配慮が必要です。
  2. 他の薬との併用: スタチン系とフィブラート系の併用など、医師の判断で慎重に処方されますが、副作用リスクは高まります。お薬手帳を活用し、すべての医療機関で、すべての服薬状況を共有することが大切です。

5. 生活習慣改善(食事): 認知症と脂質異常症の両方に良い「地中海食」と「オリーブオイル」

脂質異常症の改善には、食事の管理が不可欠です。しかし、認知症の方の場合、食事の好みの変化や、食事を摂ること自体への興味の低下など、管理が難しい面もあります。 そこでおすすめなのが、「地中海食」です。

地中海食とは?

地中海食は、伝統的な地中海沿岸諸国の食事パターンです。特徴は以下の通りです。

  • 野菜、果物、穀物、豆類、ナッツ類を多く摂る
  • 魚介類を週に数回摂る
  • 乳製品、家禽類、卵は中程度に摂る
  • 赤肉(牛肉、豚肉)は控える
  • 食事の際の油脂は、オリーブオイルを主に使う
  • 適量のワインを食事と共に楽しむ(飲酒は医師の相談が必要です)

なぜ、認知症と脂質異常症の両方に良いの?

地中海食は、不飽和脂肪酸(オレイン酸など)、抗酸化物質、食物繊維が豊富で、LDLコレステロールを下げ、動脈硬化を予防する効果があります. また、これらの成分が脳の健康にも良い影響を与え、認知機能低下を抑制する可能性があることが、多くの研究で示唆されています。 つまり、地中海食は、脂質異常症を改善し、かつ認知症のリスクを低減、あるいは進行を緩やかにするという、まさに「一石二鳥」の食事なのです。

特に注目したい「オリーブオイル」

地中海食の鍵となるのが、オリーブオイルです。オリーブオイルには、LDLコレステロールを下げる効果のあるオレイン酸や、強い抗酸化作用を持つポリフェノールが豊富に含まれています。 食事介助の際、炒め物やサラダのドレッシング、あるいはスープに、積極的にオリーブオイルを使うことをおすすめします。

6. 生活習慣改善(運動・習慣): 介護者と一緒にできる!おすすめ体操と生活習慣

運動は、脂質異常症の改善、認知症の予防、進行抑制、そして心身の健康維持に非常に効果的です。 介護者の方も一緒にできる、おすすめの体操と生活習慣をご紹介します。

おすすめの運動

  1. 有酸素運動: ウォーキング、自転車こぎ、水泳など。LDLコレステロールを下げ、HDLコレステロールを上げる効果があります。また、脳への血流も良くなり、認知機能にも良い影響を与えます。 施設介護や訪問看護の際、患者さまと一緒に、無理のない範囲でウォーキングを習慣にしましょう。
  2. レジスタンス運動(筋力トレーニング): スクワット、かかと上げ、椅子に座ったままでできる足の上げ下げなど。筋肉量が増え、代謝が良くなります。 介護者の方と一緒に声かけをしながら、楽しく行いましょう。
  3. ストレッチ: 筋肉の柔軟性を高め、血流を良くします。リラックス効果もあり、心身の健康に繋がります。

生活習慣の改善

  1. 禁煙: タバコは動脈硬化を急速に進行させます。認知症のリスクも高めます。禁煙は、脂質異常症と認知症の両方の予防・進行抑制に、極めて重要です。
  2. 節酒: 過度の飲酒は、中性脂肪を上げ、血圧を上げ、肝臓に負担をかけます。飲酒については、医師の相談が必要です。
  3. ストレス管理: ストレスは血圧や脂質の値を悪化させ、認知機能にも悪影響を与えます。リラックスできる時間を作るよう、配慮が必要です。

7. 介護の難しさと関わり方: 認知症×脂質異常症、併発時のケアの難しさ

認知症と脂質異常症を併発している方のケアは、容易ではありません。介護者の方々が直面する難しさと、薬剤師としての経験から見えてきた、関わり方の注意点についてお話しします。

介護の難しさ

  1. 食事制限の難しさ: 認知症の方は、食事制限を理解することが難しく、好きなものを食べたいという欲求が強いことがあります。また、食事介助をする際も、本人に無理強いすることになり、介護者の負担も大きいです。
  2. 運動の難しさ: 足腰が弱っている、理解が難しい、やる気が起きないなど、運動を習慣化させるのは大変です。
  3. 服薬管理の難しさ: 薬を飲み忘れる、薬を飲み込むことが難しい、薬の目的が分からないなど、適切な服薬管理には、多くの工夫が必要です。
  4. コミュニケーションの難しさ: なぜ、生活習慣を変えなければならないのか、薬を飲まなければならないのか、本人に伝えるのが難しいことがあります。

関わり方の注意点

  1. 寄り添う気持ち: まずは、本人の気持ちに寄り添うことが何よりも大切です。「なぜ、これを食べちゃダメなの?」と怒るのではなく、「これを食べると、体が楽になるよ」「一緒に美味しいご飯を食べよう」と、前向きな言葉かけを意識しましょう。
  2. 小さな達成感: 生活習慣の改善は、一朝一夕にはいきません。「今日は、いつもより一歩多く歩できたね」「オリーブオイルの料理、美味しいね」と、小さな達成感を積み重ねることで、本人のやる気を引き出しましょう。
  3. 声かけの工夫: 「薬を飲みなさい」ではなく、「お薬の時間だよ。一緒に飲もう」と、優しく、かつ分かりやすく声をかけましょう。薬の形や飲み込みやすさについても、薬剤師に相談してください。
  4. 専門家との連携: 介護者の方だけで抱え込まず、医師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士など、多職種の専門家と連携しましょう。薬剤師は、薬の副作用のチェック、飲み合わせの確認、服薬支援など、様々な面でサポートできます。
  5. 介護者自身の健康: 介護は、心身ともに大変な仕事です。介護者ご自身も、無理をしすぎず、休息を取ることを忘れないでください。ご自身の健康も、より良い介護に繋がります。

まとめ:この知識が、より良い介護と、本人の笑顔につながる

認知症と脂質異常症の併発は、決して簡単ではありません。しかし、この記事で解説した知識と、具体的な行動へのステップを実践することで、患者さまの健康を守り、より良いケアへと繋げることができます。

  • 脂質異常症は、動脈硬化だけでなく、認知症の重大なリスク因子。
  • 薬は「語尾の法則」で種類を覚え、副作用や飲み合わせに注意。
  • 地中海食とオリーブオイルは、認知症と脂質異常症の両方に効果的。
  • 介護者と一緒にできる運動や生活習慣改善が大切。
  • 寄り添う心、小さな達成感、専門家との連携が、関わり方の鍵。

この知識が、介護者の方々の不安を解消し、より良い介護と、本人の笑顔につながることを、心より願っています。 皆さまの介護という、尊い仕事を、薬剤師として、これからも応援し続けます。


出典:

  • World Health Organization. (2019). Risk reduction of cognitive decline and dementia: WHO guidelines.
  • 厚生労働省. (2022). 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版.
  • 国立長寿医療研究センター. (2023). 地中海食による認知症予防.
  • 日本動脈硬化学会. (2021). 脂質異常症の食事療法.

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