はじめに
「あれ?お父さん、朝の薬飲んだっけ?」 「お母さん、それさっき飲んだ薬じゃない?」
高齢のご両親を持つご家族にとって、毎日の「服薬管理」は非常に大きな悩みです。薬の種類が増えれば増えるほど、飲み忘れや飲み間違いのリスクは高まります。しかし、服薬管理は単に「正しく飲ませる」ことだけが目的ではありません。ご本人の自立を守り、ご家族の介護負担を減らすための大切なステップです。
今回は、在宅医療の現場で多くの患者さんと向き合ってきた薬剤師の視点から、**「家族が知っておくべき服薬管理のコツ」**を具体的かつ分かりやすく解説します。

1. なぜ高齢者は薬の管理が難しくなるのか?
まず、なぜ管理が難しくなるのかを理解しましょう。主な理由は3つあります。
- 加齢による認知機能の低下: 飲んだこと自体を忘れてしまう、または飲む時間を間違える。
- 視力・手先の巧緻性(こうちせい)の低下: 薬のシートが小さくて見えにくい、指先に力が入らずシートから出せない。
- 多剤併用(ポリファーマシー): 複数の病院から多くの薬が出ており、どれが何のための薬か分からなくなる。
これらは本人の「やる気」の問題ではなく、身体的な変化が原因です。だからこそ、周りのサポートと「仕組みづくり」が重要になります。
2. 薬剤師が教える!服薬管理を劇的にラクにする3つの方法
①「一包化(いっぽうか)」を活用する
一番の解決策は、薬局で薬を**「一包化」**してもらうことです。一包化とは、飲むタイミング(朝・昼・晩など)ごとに、複数の薬を一つの袋にまとめてパッキングすることです。
- メリット: シートから出す手間が省ける、飲み間違いが激減する、袋に日付や名前を印字できる。
- 依頼方法: 医師の指示が必要な場合が多いため、まずは薬剤師に「飲み忘れが多いので一包化したい」と相談してください。
② お薬カレンダー・お薬BOXの導入
視覚的に「飲んだかどうか」を一目で分かるようにします。
- お薬カレンダー: 壁に掛けるタイプ。日付と時間が並んでいるので、飲み忘れがすぐに分かります。
- お薬BOX: 曜日ごとに仕切られたケース。外出時にも持ち出しやすく便利です。
③ 薬の種類を整理する(断捨離)
そもそも薬の数が多すぎる場合は、減らせる可能性があります。 「この薬、ずっと飲んでいるけど本当に必要?」と思うものがあれば、薬剤師を通じて医師に提案(疑義照会)することができます。薬が減れば、管理のハードルはぐっと下がります。

3. 介護保険や福祉サービスの力も借りよう
家族だけで抱え込む必要はありません。専門職との連携が成功のカギです。
- ケアマネジャーへの相談: 生活リズムに合わせた服薬方法を一緒に考えてくれます。
- 訪問薬剤管理指導(居宅療養管理指導): 薬剤師が自宅に訪問し、薬のセットや残薬確認、飲み合わせのチェックを行います。介護保険が適用されるので、ぜひ活用を検討しましょう。

4. まとめ:服薬管理は「家族の笑顔」のために
正しく薬を飲むことは、病気の悪化を防ぎ、穏やかな生活を続けるための基盤です。 「ちゃんと飲んで!」と怒ってしまう前に、まずは薬剤師やケアマネジャーに相談し、**「本人が無理なく飲める仕組み」**を作ってみませんか?
服薬管理がスムーズになれば、ご家族の不安も解消され、もっと楽しい会話の時間が増えるはずです。


コメント