【語呂合わせあり】認知症の中核症状の覚え方

認知症

認知症には「中核症状」と「行動・心理症状(周辺症状やBPSDと言われたりします)」の2分類に症状を分けて考えます。

認知症の症状は様々で、どの症状が「中核症状」なのか分かりづらい。中核症状だけ覚えておけば、それ以外はみな「行動・心理症状」と覚えればいいことに気づきました。

中核症状の覚え方をあみ出したので共有します。

この記事は、以下の疑問点を持っている方に向けて書きました。

認知症の中核症状を覚えづらい。いい覚え方はないか?

中核症状はどんな症状なのか?

この記事を読めば、

認知症の中核症状を「語呂合わせ」で覚えることが出来る!

認知症の中核症状がどんな症状かわかる!

行動・心理症状と分けて覚えることができる!

ではさっそく語呂合わせで覚えよう

語呂合わせで中核症状を覚える

中核症状を語呂合わせで覚えよう!

・・っちゅうか、危険!針の事故!

●「・・ちゅうか」=中核症状

●「危険!」=「き」・・「記憶障害」 「けん」・・「見当識障害」

●「針の」=「は」・・「判断力低下」 「り」・・「理解力低下」

●「事故」=「実行機能障害」

中核症状を語呂合わせで覚えよう!

・・っちゅうか、危険!針の事故!(「ちゅうか」「き」「けん」「は」「り」の「じこ」)

(中核症状:記憶障害、見当障害、判断力低下、理解力低下、実行機能障害)

どうでしょうか?

私はこの語呂合わせで覚えています。

これ以外の症状はみな「行動・心理症状」です。

では、中核症状について学んでいきましょう!

記憶障害

認知症は「物忘れ」から始まるイメージがありますが、認知症のタイプによって記憶障害があまり出ない場合もあります。認知症のタイプで最も多い「アルツハイマー型認知症」はこの「記憶障害」を伴うことがほとんどであり、その影響で「認知症」=「物忘れ」のイメージを作っていると感じます。レビー小体型認知症の初期は「記憶障害」を伴わないことが多いです。

アルツハイマー型認知症を例に記憶障害を説明します。

記憶障害の分類

短期記憶:ついさっきまでの記憶。失われやすい

エピソード記憶:個人的な体験の記憶。失われやすい

長期記憶:幼少期や若いころの記憶。保たれやすい

手続き記憶:体が覚えている動作の記憶。保たれやすい

情動記憶:感情の記憶。快楽。不快感。保たれやすい

短期記憶は「食事をした記憶」「家に鍵をかけた記憶」「数分前に話したこと」など一番最近の新しい記憶です。アルツハイマー型認知症は「食事をした記憶」をまるまる抜け落ちてしまいます。何度も「食事はまだかね?」と聞いてくるのはこの短期記憶が失われることが原因です。

エピソード記憶は、「家族で旅行したこと」や「午前中、一緒に散歩したこと」など最近の思い出作りした記憶が抜け落ちることです。これも失われやすい記憶です。

長期記憶について。最近の記憶は忘れてしまうのに、「昔」の記憶はありありと覚えていたりします。「昔」というのも本人が若いころ活躍していた記憶や子育てしていた記憶、幼少期の記憶、など様々です。例えば、子供が成人して家を出ているのにも関わらず、「家に帰って息子のご飯の支度しなくちゃ!帰る!」など言い出すのは、長期記憶が保たれていることの現れだったりします。長期記憶は本人にとって自尊心や責任をもって過ごしてきた記憶だったりするので、否定せずに話を聞いてあげることで本人からの信頼を得る手がかりになります。

手続き記憶とは「車の運転」「自転車の運転」「服の着替え方」「箸や鉛筆の使い方」「歩き方」など日常の動作の記憶です。アルツハイマー型認知症の初期では保たれやすいが、進行するにつれて失われていきます。この手続き記憶が失われることで後に出てくる「実行機能障害」に関わります。

情動記憶とは「感情の記憶」です。特に「安心できるかどうか」「信用できるかどうか」「(本人にとって)いい人かどうか」という記憶です。何を一緒にしたか覚えていないけど、相手に対する感情の記憶は保たれやすいです。本人の記憶に介護者が「不快な人」「怖い人」「信用できない人」としてインプットされると、介護拒否されて介入が困難になってしまいます。この「情動記憶」を念頭に置いて対応することで本人の「行動・心理症状」の発現をある程度抑えることが出来ます。

見当識障害

「見当識障害」とは、具体的に以下の通り

見当識障害

「時間」を認識できない:今日は何月何日? 年齢は? 15分待つ?

「場所」を認識できない:ここはどこ? 

「人物」を認識できない:家族に「あなたはだあれ?」 他人に向かって「私の息子!」

「時間」の認識が出来ない。「15分待つ」と言われても「15分」の感覚が分からなくて途方に暮れてしまいます。「朝」「昼」「夜」の認識も分からなくなると「昼夜逆転」といって夜に活動的になったりします。進行すると、薬を飲むタイミングも一人では分からなくなります。

「場所」の認識ができない。「徘徊」の行動・心理症状はこの場所の見当識低下で起こります。本人なりに目的があって外出しても、今いる場所や目的地が分からなくなり、道に迷ってしまうのです。

「人物」の認識が出来ない。ある程度、アルツハイマー型認知症が進むといよいよヒトの認識が出来なくなります。一生懸命介護してきた家族に「あなたはだあれ?」はショッキングな言葉だと察します。それも認知症の症状と知っていれば、ショックも和らぐと思います。

判断力・理解力の低下

「判断力」「理解力」は一緒に分類されています。

相手の話している内容を理解するのに時間がかかる、早口にしゃべられるともはや分からない、といったコミュニケーションの問題から赤信号で止まれない、ルールが守れない、など社会的な問題行動にまで発展することがあります。

「失認(認識が出来ない)」「失語(言葉が理解できない、言葉が出ない)」「失行(行為がわからない)」といった部分的な能力低下の積み重なりで、判断や理解が出来なくなります。

目の前のリンゴを見て「“リンゴ”と認識できない」「“リンゴ”の名称が出てこない」「“リンゴ”が食べるものなのか何なのか分からない」。判断力や理解力が低下していると思われるのです。

実行機能障害

今までできていたことが、出来なくなる実行機能障害。本人にとってつらい体験です。この積み重ねでどんどん自信を無くし、他人と関りを拒否したり、引きこもったりしてしまいます。

実行機能障害

【手段】的な日常動作がわからなくなる

「買い物の仕方」「お金の数え方」「乗り物の利用方法」「掃除の仕方」「食事の準備」「服薬管理」

【基本】的な日常動作がわからなくなる

「着替えの仕方」「トイレの仕方」「風呂の入り方」「食べる行為」

アルツハイマー型認知症が進行するにつれて「手続き記憶」が低下します。「判断力・理解力の低下」も絡み合って「実行機能障害」が状態として現れてくるのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

中核症状を覚えれば、それ以外の症状は「行動・心理症状(BPSD)」と覚えておけばいいのです。

中核症状は脳のゴミであるβアミロイドが蓄積し、脳神経にダメージを与え壊していくことが原因です。一方、「行動・心理症状(BPSD)」は中核症状をもつ本人が、周囲の環境や人々とのかかわりあいの中から生じる症状です。

中核症状の低下を治す術は今のところありません。薬で進行を抑えるのが精一杯です。

中核症状の理解を深めたうえで、特に介護者に関わる本人の「行動・心理症状(BPSD)」をいかに和らげるか。

本人と介護者が安心して暮らせる手がかりになると思います。

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