この記事はドネペジルを服用している患者様や介護者に向けて書きました。
この記事を読めば、ドネペジルの副作用が理解でき、対処法がわかります。
- 胃腸障害
- 易怒性
- 循環器障害
どの副作用も起きやすいタイミングがあります。
「服用したての頃」や「量を増やしたとき」に起きやすいです。
ドネペジルは初回は3㎎の量で開始します。
3㎎は有効量ではなく、「副作用が起きるかどうか」を見ている量です。
特に副作用が起きていなければ5㎎に増量します。こちらが有効量とされています。開始後、7日~14日後に増量するのが適正な使い方です。高度なアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症だと10㎎まで増量できます。
開始量の「3㎎」を数日服用後だったり増量後の「5㎎」「10㎎」にした時に、副作用が起きていないかチェックが必要です。
胃腸障害
具体的にどんな症状かというと
「食欲が落ちる」「下痢」「吐き気」「おう吐」
介護者の方は、上記の副作用がおきていないか、本人をよく観察します。
副作用かもしれない、と思ったら介護者の対処法について、
「医師」や「薬剤師」に状態を申し出る
その際、服用前の状況と服用後の状況を伝えてください。
薬剤師に相談すると、「トレーシングレポート」で医師に状況を書面で伝えてくれたり、急ぎ何とかしてほしい場合は「疑義照会」で医師の対応を仰いでくれます。
申し出を受けた医師の対応としては以下の通り。
ドネペジルの減量、または中止する
「整腸剤」「吐き気止め」を追加して様子を見る
服用者本人の「食事の量が明らかに減った」「食べようとしない」など服用前に比較して頻度が多くなってきたようなら、ドネペジルの副作用かもしれません。
また、軽度の吐き気、下痢であれば服用を継続する場合もあります。「整腸剤」や「吐き気止め」を利用して、ドネペジルが体に慣れるようまで時間稼ぎすることがあります。
ドネペジルの副作用は、飲み続けていくことで体に慣れて、胃腸障害が和らぐ場合があります。
易怒性
易怒性=興奮 怒りっぽい 暴言・暴力
ドネペジルの「賦活作用」は、意欲低下のある患者さんの気分を高める効果を期待します。
患者さんの意欲が高まって、活動の幅が増えたり、集中力が増したりといった「ちょうどいい具合」に効けばいいのですが、患者さんの体質や薬の量によっては「効きすぎる」場合があります。
精神状態が「興奮」して「暴言」や「暴力」といった行動で現れたりします。
介護者のとる対応として
「医師」や「薬剤師」に状態を申し出る
その際、服用前の状況と服用後の状況を伝えてください。
薬剤師に相談すると、「トレーシングレポート」で医師に状況を書面で伝えてくれたり、急ぎ何とかしてほしい場合は「疑義照会」で医師の対応を仰いでくれます。
申し出を受けた医師の対応としては以下の通り。
ドネペジルの減量、または中止する。
中程度以上の認知症なら「メマンチン」と併用して、ドネペジルの服用を継続する。
「少量の抗精神病薬」「抗てんかん薬」「漢方薬」と併用して、ドネペジルの服用を継続する
ドネペジルの開始前後で、明確に本人の行動や性格が変わった場合は、易怒性の副作用を疑って減量または中止します。
一方、服用後、数か月が経って本人の行動や性格が変わった場合、ドネペジルの副作用かどうか、はっきりしないことがあります。
本人の元々の性格だったり、BPSD(行動・心理症状)によって起こっていたりします。
その場合、ドネペジルの服用を継続しながら、他の薬を追加することがあります。
メマンチンは「ブレーキ系」の認知症の薬です。「ブレーキ系」というのは、「興奮を抑える方に働く」効果があります。ドネペジルは「アクセル系」と表現されたりします。
両者の併用によって、精神のバランス状態を整えて、「興奮」を鎮めます。
中程度の認知症から使用できるようになります。
他にも、ドネペジルを継続しながら併用する薬を以下にお示しします。
【少量の抗精神病薬】
リスパダール(成分名:リスペリドン)
セロクエル(成分名:クエチアピン)
ジプレキサ(成分名:オランザピン)
【抗てんかん薬】
デパケン(成分名:バルプロ酸ナトリウム)
【漢方】
ツムラ54番(抑肝散)
これらの医薬品を併用すると、「興奮」が抑えられるケースがあります。
使い分けは医師の見立てでいろいろ変わりますので、明確にこうだ、と言えませんが、代表的な薬の選択肢は上記かと思います。
「易怒性」が高いと、介護介入が難しくなります。その場合、ドネペジルの減量または中止か、他の薬を併用して興奮を鎮めてから、介護介入に入るケースもあります。
循環器障害
頻度は最も低いですが、以下の循環器障害が起こることがあります。
不整脈
心不全
不整脈の中でも「徐脈」といって、脈がゆっくりになることがあります。自覚症状は「息切れ」「だるさ」「足のむくみ」「めまい」「失神」です。
心不全は、徐脈の自覚症状と同じです。血圧低下も起きたりします。
介護者の対処法は以下の通り。
「医師」や「薬剤師」に状態を申し出る
その際、服用前の状況と服用後の状況を伝えてください。
薬剤師に相談すると、「トレーシングレポート」で医師に状況を書面で伝えてくれたり、急ぎ何とかしてほしい場合は「疑義照会」で医師の対応を仰いでくれます。
申し出を受けた医師の対応としては以下の通り。
ドネペジルを中止する
ドネペジルの使用説明書には「中止か適切な対応をとる」と表記されています。
医師によって、対応がさまざまな部分もあるので、明確にこうだ、と言えません。
まとめ
代表的な副作用を3点あげました。
他にも頻度は低いものがたくさんありますが、介護する方がよく覚えてほしい副作用は3つです。
医師に直接相談して構いませんが、その前に薬剤師に相談してもいいと思います。
対応としては、「医師に相談」が最終的なゴールになると思いますが、薬剤師を通して伝えてもらうことで、医師に状況をより分かってもらえたりします。
いずれにしろ、ドネペジルの服用前後の様子をよく観察しておくことが一番身近にいる介護する人にとって大切なことだと思います。
コメント