あなたは今、どんな薬剤師として働いていますか?
目の前の処方箋をこなし、疑義照会をし、患者対応をして、薬歴を書き……。気が付けば、毎日が業務に追われる「プレイヤー」のまま、数年が過ぎていた——そんな方も多いのではないでしょうか。
もちろん、「プレイヤー」としての役割は薬剤師にとって非常に重要です。しかし、キャリア10年、15年と年数を重ねる中で、そろそろ次のステージを意識したいという方も増えてきます。
この記事では、「プレイヤー」を卒業し、薬剤師としてのキャリアを一段上に進めるための考え方と具体的な行動ステップをご紹介します。
なぜ「プレイヤー卒業」が必要なのか?

1. 成長の天井が見えてくる
経験年数を重ねると、オペレーション業務だけでは学びが頭打ちになる時期がきます。処方解析や服薬指導のスキルはもちろん大切ですが、「それだけでは自分の価値が伸びない」と感じる瞬間は、必ずやってきます。
2. 周囲から求められる役割が変わる
若手の育成、店舗マネジメント、多職種連携……年齢やポジションが上がるにつれ、あなたに期待されるのは“個人の能力”ではなく“チームや組織を動かす力”へとシフトしていきます。
3. 自分の市場価値を広げたいなら
AIや自動化の波が押し寄せる中で、単なる業務遂行者から脱却しない限り、自分の価値は徐々に低下していくかもしれません。生き残るためにも、次のステージへの準備は早めに始めるべきです。
「プレイヤー卒業」とは何を意味するのか?
「プレイヤー卒業」とは、現場の業務から完全に離れるという意味ではありません。むしろ、業務経験を活かして以下のような“より上流の役割”に挑戦することを指します。
- マネジメント(薬局長・エリアマネージャー)
- 教育・研修(新人育成・OJT担当)
- 経営・企画(店舗運営・事業開発)
- 専門特化(認定薬剤師、在宅、地域連携)
- 発信・執筆・講師(医療ライター、社外登壇)
あなたの経験を「再定義」し、組織や社会に還元していくポジションを目指すこと。それが、「プレイヤー卒業宣言」の本質です。
キャリアの次のステップを描くための3ステージ
ステージ1:自己棚卸し(過去を振り返る)
まずはこれまでの自分を見つめ直すところから始めましょう。
- これまでどんな業務をしてきたか?
- どんなときにやりがいを感じたか?
- 周囲からよく言われる自分の強みは?
✔︎ツール活用のヒント
- キャリア年表を作る
- 感情ログを書き出す
- 他者からのフィードバックを集める
ステージ2:未来の自分を言語化する
棚卸しができたら、次は“なりたい姿”を描きます。
- 自分は5年後、どんな働き方をしていたいか?
- 薬局の中でどんなポジションについていたいか?
- 薬剤師という枠を超えて挑戦してみたい分野は?
✔︎問いの例
- 自分は何に価値を感じるか?
- 誰にどんな貢献がしたいか?
- この仕事を通じて、何を残したいか?
ステージ3:行動に移す(現場に仕掛ける)
どんなに素晴らしい構想も、動かなければ変化は起きません。
- 上司に異動希望や挑戦意欲を伝える
- 社内プロジェクトに手を挙げる
- 自主的に後輩の指導を始めてみる
- 学会発表・研修講師にチャレンジする
- 副業・執筆活動を始める(社外での実績づくり)
小さな行動の積み重ねが、やがて大きな道となって現れます。
キャリアの変化を恐れないために

「現場を離れるのが怖い」「プレイヤーを辞めたら、自分には何も残らないかも」
そんな不安を感じる人もいるでしょう。でも実際には、プレイヤーとして積み重ねた経験こそが、次のキャリアの「武器」になります。
必要なのは、視点を少し変えること。そして、「自分の強みを活かす場所は他にもある」と気づくことです。
まとめ:卒業とは終わりではなく“始まり”
「プレイヤー卒業」とは、現場を離れるのではなく、
現場を知っている自分だからこそ描ける“次の役割”を引き受けること。
薬局業界の未来は、単なる処方箋業務だけでなく、教育、地域連携、経営、発信など、広がりを見せています。
あなたのキャリアも、その一部になれるはず。
さあ、次のステージへと、踏み出してみませんか?
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