この記事は以下の人向けに書きました
- 認知症サポーターに関心がある人
- 認知症サポーターにこれからなりたい人
- 認知症サポーターになったけど、何をすればいいか分からない人
この記事を読むことで、以下のことが分かります。
- 認知症サポーターって何をすればいいのか
- 認知症サポーターの目的
認知症サポーターの役割について学んでいきましょう!
役割① 認知症を正しく「理解」してほしい
認知症の人は何もできないわけじゃない!
「認知症」と一言で言っても、症状や進行の程度は一人ひとり異なります。
周囲の人がサポートをすれば、これまでのように自立して過ごせる方も少なくありません。その方なりに出来る能力(残存機能)を見つけてあげて、それをやってもらうことで認知症の進行をゆるやかに出来ます。
何でもかんでも制限をかけることは逆効果です。「出来ないからやらせない」はその方の存在を否定していると受け取られかねません。そうなると、本人は、他人との関わりを閉ざすようになってしまいます。認知症が進行してしまいます。
本人が活き活きと出来ることをさせてあげる、生きがいを一緒に見つけ、ともに喜んであげる、応援してあげる、そういった事なら、私たちもサポート出来ることなのでは、と思います。
認知症の人は最期まで「感情」を忘れない!
認知症の方は、病気が進行していくと、出来ていたことが出来なくなったり、わからない事が増えていきます。そうなると、どんな気持ちになるのでしょうか?
「ここがどこなのか分からない」「今、朝なのか夜なのか分からない」「相手の言っていることが分からない」「相手が誰なのか分からない」「何をされるのか分からない」「これが何なのか分からない」
「怖い」「イライラ」「もどかしい」「こんなはずでは」「もうだめだ」「逃げたい」「信じられない」「もう放っておいてくれ」「恥ずかしい」「さびしい」
その人にしか分からない「不安」に苛まれて、理解してもらえる人も周囲にいないと、「孤独」で仕方ないのです。
いろいろ出来なくなるけど、「うれしい」「悔しい」「さびしい」「楽しい」という気持ちは最期まで保持されます。最後に残るのは「感情」なんです。
認知症の人の問題行動は「関わり方」で和らげられる
認知症の方々は、症状が進行するにつれて実に様々な問題行動を発します。
「問題行動」と書きましたが、見方を変えると「SOS」だったりします。介護者から見ると問題行動ですが、本人からすると「困っているので何とかしてほしい」サインなのです。
「助けてほしい」と言っている人に、心無い言葉をあびせたり、禁止ばかりしていると、ますます「助けてほしい」のサインを強く出します。その結果、問題行動がより深くなっていきます。
本人の行動を問題にする前に、介護者側の関わり方を見直すことで問題が和らぐケースも少なくないことを知っておきましょう。
役割② 「見守る」ことから始めてほしい
見守るって?
では、どのような関わり方が良いのか?
認知症サポーターが最初にしてほしいのは、「見守る」ことです。
「え?ただ見てればいいの?」と思うかもしれません。「見守る」をもう少し解釈を広げると次のような見守りをお願いしたいのです。
イライラせずに、待ってあげる。
本人が焦らないように、待ってあげる。
本人のペースに合わせてあげる。
「待ってあげる」ことが、結果として「見守っている」ことにつながります。意識的に待てるようになるとそれほどイライラしなくて済みます。
認知症サポーターであれば、この原則を実践してほしいです。
役割③ できる範囲で「3配り」をしてほしい
目配り
見守ると少し違うのは、「待ってあげる」というよりは「観察する」に近いニュアンスですね。
まずは本人の状況に気づいてあげることです。「あれ?あのご老人はもしかした何か困っているのかも」という発想をもつことです。
例えば、「おじいさんが駅のきっぷ売り場前で長時間ウロウロしている」状況に気づくことです。
気配り
気配りとは「ちょっと先を読む」ことです。
「おじいさん」「きっぷ売り場」「長時間ウロウロ」から考えられることは「もしかしたら電車に乗りたいのでは?」「きっぷの買い方が分からないのでは?」と発想することです。
心配り
心配りとは「相手が喜ぶこと、助かること」を「手伝う」ことです。
「おじいさん、どうされましたか?何かお困りごとですか?」とひと声かけることが「心配り」です。
きっぷの買い方がわからないという事であれば、切符購入をお手伝いするなどその先の行動につながります。
出来る範囲で、お年寄りを助けてあげる。そのためには「状況に気づく」「先を読む」など目配り、気配りがあって心配りができるようになります。ここまで出来たら認知症サポーター100点ですね!
ほんの些細な助けでも、認知症の方々にとっては大きなサポートと受け止めてもらえます。
役割④ 3つの「~ない」を心得る
驚かせない
認知症の方を驚かせると、混乱して思いがけないBPSDを起こします。
「後ろから声をかける」は認知症の方を驚かせる可能性が高いです。なので、本人の正面から、声をかけるよう意識しましょう。できれば、本人の視界に急に入るのではなく、本人から気づけるようにゆっくり視界に入っていくとなお良いでしょう。
急がせない
「見守る」と共通しているのは「待ってあげる」。すなわち「急がせない」ことです。
認知症の方は、理解力や判断力、反応が薄いです。周囲のスピードについていけない事を考慮して接する必要があります。
会話するときも1つ1つの反応を確かめながら、ゆっくり、笑顔で穏やかに接すると安心していただけます。
自尊心を傷つけない
出来ないことが増えてくる認知症の方は、より「感情」に敏感になっています。
そんな認知症の方に対して、「叱る」「否定する」「無視する」「いつも制限する」などの対応は、本人にとって人格や存在を否定されたと受け止められてしまいます。
繰り返しますが、認知症の方は感情だけは忘れません。「情動記憶」は最期まで残る能力です。
本人の言い分を「否定しない」「叱らない」「いったん受け止める」ことが、相手の自尊心を傷つけない対応につながります。
介護する側も人間なので、時としてどうしても厳しい言葉をかけたくなることもあるでしょう。一方、その気持ちのまま、伝えてしまうと、BPSDが悪化して介護者に返ってくる、ということも知っていれば、一呼吸おいて対応を考えられます。
認知症本人の世界観に合わせて、否定しない対応を心がけましょう。
まとめ
認知症サポーターってそもそも何のために創られたのか。
それは“認知症の人でもそうでない人でも一緒に暮らしていける世の中をつくるために認知症サポーターは存在している”のです。
認知症の人とその家族をまず理解する。「見守る」ことで状況に気づいてあげられます。状況に気づいたら自分にできることを出来る範囲で「助ける」。
もし、認知症サポーターが一人もいない社会だったらどうなるのか?
きっと殺伐としていて、認知症の人もそうでない人も暮らしにくい社会になっていることでしょう。
ヒトは誰でも年をとります。認知症はだれでもなりうる。自分自身も、自分の家族も、身近な人も。他人事ではなく、自分事なんです。
年をとっても安心して暮らせる社会を作るために認知症サポーターが必要なんです。
認知症サポーターは誰でもなれます。子供でも、外国人でも、認知症本人でも。
医療関係者だけでなく、学生さんだったり、お年寄りが利用する地域の方々には皆さん、認知症サポーターになっていただきたい。
キャラバンメイトが主催する「認知症サポーター講座」を受ければ、サポーター証をもらえます。基本的に、受講料はありません。市町村のホームページや「認知症サポーター」といれて検索をかければ、講座の日程がわかります。
ぜひ多くの方々に認知症サポーターになっていただき、お力添え、よろしくお願いいたします。
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