ドネペジルをはじめ、中核症状の4大治療薬について、簡潔に理解したい介護者向け
添付文章にはこまごま記載があるので、要点だけ簡潔に知りたい人向け
認知症の4大中核症状治療薬を簡潔に、要点だけ理解できます。
ドネペジル
剤型が豊富
アルツハイマー型認知症だけでなく、レビー小体型認知症に適応あり
意欲を高める作用を期待
認知症の軽度~重症度まですべてのステージに使用可能
【アルツハイマー型認知症】
ドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始する。1~2週間後に5mgに増量する
高度のアルツハイマー型認知症患者には、5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する。なお、症状により適宜減量する。
【レビー小体型認知症】
ドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始する。1~2週間後に5mgに増量する。5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する。なお、症状により5mgまで減量できる。
投与開始12週間後までを目安に効果を評価する。ベネフィットがリスクを上回ると判断できない場合は、投与を中止すること。
胃腸障害(下痢、吐き気、食欲不振)
易怒性(興奮)
循環器障害(息切れ、徐脈、心不全)
ガランタミン
アルツハイマー型認知症に適応を持つ
意欲を高める作用あり。ドネペジルよりもマイルド。
認知症の軽度~中程度までの進行度に使う
ガランタミンとして 1 日 8 mg( 1 回 4 mgを 1 日 2 回)から開始する。 4 週間後に 1 日16mg( 1 回 8 mgを1日2 回)に増量する。なお、症状に応じて 1 日24mg( 1 回12mgを1日2 回)まで増量できる。増量する場合は変更前の用量で 4 週間以上投与した後に増量する。
胃腸障害(下痢、吐き気、食欲不振)
易怒性(興奮)
循環器障害(息切れ、徐脈、心不全)
リバスチグミン
アルツハイマー型認知症に使える
飲み薬はなく、貼り薬なのが特徴
副作用の胃腸障害が少ない。一方、皮膚障害(かゆみ)は出やすい
意欲を高めるアクセル系
認知症の軽度~中程度に適応範囲を持つ
リバスチグミンとして1日1回4.5mgから開始する。原則として4週毎に4.5mgずつ増量し、維持量として1日1回18mgを貼付する。
また、患者の状態に応じて、1日1回9mgを開始用量とし、原則として4週後に18mgに増量することもできる。
本剤は背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付し、24時間毎に貼り替える。
貼付部のかゆみ、炎症
メマンチン
ブレーキ系の抗認知症薬。興奮を鎮める作用を期待
ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンと併用が可能
認知症の中程度~重症に適応あり
ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンは同じ他の中核症状治療薬と併用してはいけません。理由はこの3剤は同じ作用をします。脳内のアセチルコリンを分解する酵素の働きを邪魔します。その結果、アセチルコリンの濃度を増やします。例えば、ドネペジルとリバスチグミンの併用はできません。
一方、メマンチンのみ脳内のグルタミンの過剰な働きをブロックします。作用の仕方が異なるので、ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンと併用が可能なのです。
メマンチン塩酸塩として1日1回5mgから開始しする。1週間に5mgずつ増量し、維持量として1日1回20mgを経口投与する。
高度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス値:30mL/min未満)のある患者には、維持量は1日1回10mgとすること。
めまい
過鎮静
便秘
まとめ
今回は、認知症治療薬の中で中核症状治療薬に焦点を当てました。
現在、中核症状治療薬はこれら4成分のみ存在しています。
要点のみをまとめた内容です。専門家には、不十分であると思いますが、介護する方も最低限知っておいてほしい内容にまとめてあります。
2023年に新型治療薬の「レカネマブ」が厚生労働省に承認されました。認知症の原因となる「βアミロイド」を除去する根本的な治療薬として期待されています。これらの4大治療薬と比較して、どのような位置づけで処方されていくのか、注目したいですね。
コメント