認知症サポーター講座とは?内容・申込み方法・開催場所・費用(無料)をわかりやすく解説

生活支援

はじめに

「母が買い物から帰ってこない」「父が財布をなくしたと言って大騒ぎする」――そんな日常が増えてきた時、家族としてどう支えればいいのか、私は途方に暮れました。怒鳴ってしまった後に自己嫌悪に陥り、介護はただ辛いものだと思っていたのです。

そんなときに出会ったのが「認知症サポーター講座」でした。受講してみると、認知症の症状や接し方だけでなく、地域全体で支える仕組みがあることを知り、大きな安心につながりました。

本記事では、認知症サポーター講座の内容や申込み方法、開催場所、費用について、介護家族や関係者の目線からわかりやすく解説していきます。


1.認知症サポーター講座とは?

認知症サポーター講座は、厚生労働省が推進する「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」の一環として全国で実施されている講座です。

最大の特徴は 誰でも無料で参加できる こと。資格試験や難しい勉強ではなく、「認知症を理解し、支える気持ちを持つ」ことを目的にしています。

受講すると「オレンジリング」という腕輪が渡され、認知症サポーターである証になります。これは特別な免許ではなく、「認知症の人を支える仲間である」という意思を表すシンボルです。


2.講座の内容

おおよそ60〜90分の短い時間で、次のようなことを学びます。講義形式や実例のDVD鑑賞、寸劇やグループワークなどキャラバンメイト(講師)によって特色が出ます。

(1)認知症の基礎知識(正しい知識を持つ)

  • 認知症とは何か、種類や進行の特徴
  • 「単なるもの忘れ」と「認知症」の違い

(2)認知症の人への接し方

講座で特に強調されるのが「3つの~ない」という姿勢です。

  • 驚かせない:大声を出したり、急に話しかけない、さりげなく視界に入る
  • 急がせない:見守る。相手のペースを大切にする。
  • 自尊心を傷つけない:本人の世界観に合わせて、否定的な言葉を避ける

この3つでBPSDを緩和し、適切な介護コミュニケーションを取ることができます。

(3)利用できる支援制度

  • 地域包括支援センターの役割
  • 介護保険のサービスの流れ
  • 認知症カフェや家族会の紹介

(4)地域での支え合い

  • スーパーやバス停での見守り
  • 金融機関や職場での配慮
  • 学校教育や子どもたちへの理解促進

講座は、専門家の解説だけでなく映像や事例紹介も交えて進められるので、初めての方でもわかりやすく学べます。


3.開催される場所は?

認知症サポーター講座は全国各地で開かれています。主な開催場所は次のとおりです。

  • 地域の公民館や市民ホール:誰でも参加できるオープンな場
  • 図書館や学校:地域行事や教育活動の一環
  • 企業や職場:社員研修やCSR活動の一部として開催
  • 医療・介護施設:専門職と地域住民が一緒に学ぶ機会
  • オンライン(Zoomなど):外出が難しい家族にも受講しやすい形式

自宅近くで受講したい場合は、まず地域包括支援センターや市区町村の福祉課に問い合わせてみるとよいでしょう。


4.申込み方法

(1)地域包括支援センターに連絡

最寄りのセンターに電話や訪問で問い合わせると、開催日程や申込み方法を案内してもらえます。

(2)自治体のホームページ

市区町村の公式サイトで「認知症サポーター講座」と検索すると、募集情報が掲載されている場合が多いです。

(3)学校や職場経由

学校のPTA活動や会社の研修で受講するケースもあります。

(4)オンライン申込み

一部の自治体では、Webフォームやメールでの申し込みも可能です。外出が難しい方には便利な方法です。


5.受講のメリット

講座を受けることで得られるのは知識だけではありません。

  • 認知症に対する不安が和らぐ
  • 家族として接し方に具体的な方向性がわかる接し方を実践できる。
  • 地域のつながりが広がる
  • 「支える仲間」がいることを実感できる

特に介護家族にとっては、「自分だけが苦しんでいるのではない」と知ることが、大きな救いになります。


6.受講後の活かし方

サポーター講座は学んで終わりではなく、実生活での活用が大切です。

  • 認知症カフェに参加して交流する
  • 家族会で介護体験を共有する
  • 地域の見守り活動やボランティアに関わる

受講をきっかけに、地域での関わりや支援の輪が広がっていきます。


まとめ

認知症サポーター講座は、認知症を理解し、地域や家族で支える第一歩となる学びの場です。費用は無料で、全国各地の公民館や学校、職場、さらにはオンラインでも開催されています。

「驚かせない」「急がせない」「自尊心を傷つけない」という3つの姿勢を学ぶだけでも、介護の現場は大きく変わります。孤独な介護に悩む前に、一度受講してみてください。きっと支え合う力を実感できるはずです。


出典元

  • 厚生労働省「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」
  • 認知症サポーターキャラバン公式サイト
  • 各自治体公式ホームページ

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