マネジメントが苦手な薬局長へ贈る“3つの習慣”

ビジネススキル

〜人も業務もスムーズに回り出す、小さな改革〜

薬局長という立場になると、現場業務だけではなく「人を育てる」「チームをまとめる」「店舗の成果を出す」といった多くの役割を背負うことになります。しかし、薬剤師としての経験は豊富でも、マネジメントについて体系的に学んだことがない方は意外と多く、苦手意識を持っている方も少なくありません。

「結局、自分が動いた方が早いし確実」
「指示を出してもスタッフが思ったように動いてくれない」
「リーダーとしての振る舞いがわからない」

このような悩みを抱えたまま日々の業務に追われていませんか?

実は、マネジメントの本質は特別な才能ではなく、日々の行動の「習慣化」にあります。今回は、薬局現場を知り尽くした医療系コンサルタントの視点から、マネジメントが苦手でも無理なく実践できる「3つの習慣」をご提案します。


習慣①:プレイヤーから「支援者」へ。視点を切り替える

薬局長は、現場で誰よりも経験豊富で知識もあります。そのため、スタッフが困っているのを見ると、つい自分が手を出してしまいがちです。もちろん、緊急時のサポートは重要ですが、日常的に“自分がなんでもやる”状態が続いてしまうと、スタッフは成長の機会を失い、依存的になってしまいます。

薬局長の本当の役割は、「自分が動くこと」ではなく、スタッフが自律的に動ける環境を整え、後ろから支えることです。いわば“支援者”としての立ち位置を意識することが、マネジメントの第一歩なのです。

▶ 行動のヒント:

  • 毎朝、「今日は誰を支援するか?」を1人決める。
  • 支援対象のスタッフに声をかけ、あえて任せて見守る。
  • 失敗があってもすぐに正さず、まずは「考えを聞く」「励ます」ことを優先する。

この習慣を続けていくと、部下との信頼関係が徐々に育まれ、自然と“任せられるチーム”に近づいていきます。


習慣②:1on1面談を定期的に行い、対話を「習慣化」する

スタッフの本音が見えにくい。なんとなく気まずい雰囲気がある。
そう感じるのは、日常的な「対話の不足」が原因かもしれません。

忙しい現場では、どうしても業務連絡や確認だけのやり取りになりがちです。しかし、信頼関係は業務外の話題や個人的な思いを共有する中で育つものです。

そこで効果的なのが、「1on1面談」の導入です。1on1とは、薬局長とスタッフが定期的に15〜30分ほどの対話を行う仕組みのこと。評価面談とは異なり、目的は“話を聴くこと”です。

▶ 行動のヒント:

  • 月に1回、スタッフ一人ずつとの1on1面談を予定表に入れる。
  • 話す内容は自由。仕事の悩み、家庭のこと、キャリアの希望など何でもOK。
  • 面談ノートを作り、話した内容や次回までのフォロー事項を記録しておく。

たった月1回でも、「自分の話を聴いてもらえている」という感覚は、スタッフのモチベーションを大きく高め、職場定着にもつながります。


習慣③:進捗確認を“応援”の時間にする

マネジメントの場面でつい陥りがちなのが、「できていないこと」を中心にフィードバックしてしまうことです。たとえば、

  • 「まだ終わってないの?」
  • 「これは指示と違うよね?」

このような言葉は、スタッフのやる気を下げ、報連相の頻度すら減らしてしまいます。

そこで重要なのが、進捗確認の“質”を変えること。確認の時間を“応援の時間”に変えるという発想です。

▶ 行動のヒント:

  • 週1回のチームミーティングで、「今週よかったこと」から共有を始める。
  • スタッフへの問いかけは、「どんなサポートがあるともっと進めそう?」など、前向きな視点に。
  • ミスや遅れには「なぜできなかった?」ではなく、「どんな障害があった?」と原因共有のスタンスで。

このようなスタイルが習慣化すれば、スタッフは自ら行動を振り返り、改善への意欲も高まっていきます。責めるのではなく、一緒に前に進む。その姿勢こそ、部下がついていきたくなる上司像です。


最後に:マネジメントは「やり方」より「あり方」

マネジメントに苦手意識を持つ薬局長の多くは、「どう動けばいいのか」「どう伝えればいいのか」という“やり方”に意識が向きすぎている傾向があります。しかし、実は本当に大切なのは、どんな姿勢で人に向き合っているかという“あり方”です。

以下の3つの習慣は、マネジメントが苦手な方でも明日からすぐに始められる行動です。

  • 現場でのプレイヤー意識から、「支援者」としての意識への転換
  • スタッフ一人ひとりとの定期的な対話の習慣化
  • 進捗確認の場を、応援し合う文化に変える

これを繰り返すことで、スタッフとの信頼関係が深まり、チームとしての力が加速していきます。

マネジメントは特別な才能ではなく、“小さな積み重ね”から生まれる実践知です。
ぜひ、明日の朝から「小さな一歩」を踏み出してみてください。


※ご希望があれば、この記事のPDF化、アイキャッチ画像の作成、面談ノートのテンプレート提供も可能です。お気軽にご相談ください。

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