【認知症治療の貼り薬】アリドネパッチ・リバスタッチパッチを飲み薬と比較してみた

【認知症治療の貼り薬】アリドネパッチ・リバスタッチパッチを飲み薬と比較してみた

高齢化が進む中、認知症の患者数は年々増加しています。その治療薬として注目されているのが、「貼り薬(経皮薬)」です。特にアリドネパッチやリバスタッチパッチは、服薬が困難な患者さんにとって強い味方となっています。

この記事では、貼り薬と飲み薬(経口薬)の違いを薬剤師の視点から詳しく解説し、現場での実際の使用感や副作用対策についても触れていきます。

目次 経皮薬とは?経口薬との基本的な違い

貼り薬は、皮膚から薬剤を徐々に吸収させ、安定した血中濃度を保つ剤形です。認知症治療薬としては以下の2種類があります。

  • アリドネパッチ(ドネペジル)
  • リバスタッチパッチ(リバスチグミン)

これらはアルツハイマー型認知症に対して、症状進行の抑制を目的に使用されます。

項目貼り薬(経皮薬)飲み薬(経口薬)
吸収経路皮膚→血中胃腸→肝臓→血中
副作用皮膚刺激吐き気・下痢など
管理のしやすさ目視で確認飲み忘れや重複のリスク
適応嚥下困難や拒薬自立した内服が可能
アリドネパッチとリバスタッチパッチの特徴 アリドネパッチ(ドネペジル)
  • 飲み薬アリセプトと同成分
  • 胃腸症状が軽減される傾向
  • 1日1回貼り替えで効果持続
  • 服薬管理がしやすい
リバスタッチパッチ(リバスチグミン)
  • 内服薬がなく、貼付剤のみ
  • 二重の酵素阻害で作用
  • 段階的に増量が必要
  • 皮膚刺激の頻度がやや高い
貼り薬が選ばれる4つの理由
  • 嚥下困難・拒薬に対応:飲み込みが困難な方にも有効
  • 視覚的な管理が可能:貼ってあるか一目でわかる
  • 消化器症状が少ない:胃腸への刺激が少ない
  • 安定した薬効:血中濃度が安定し副作用が出にくい
貼り薬の注意点と皮膚障害への対処法

貼り薬でよくあるのが、皮膚の赤み・かゆみ・かぶれなどのトラブルです。特にリバスタッチパッチではその頻度が高いとされています。

保湿剤・ステロイド剤の併用が有効

皮膚症状が強い場合には、医師の判断で以下の薬剤が処方されることがあります。

  • 保湿剤(ヘパリン類似物質 など)
  • 弱いステロイド外用薬(ロコイド軟膏など)

これらを併用することで、皮膚への刺激を軽減しながら治療を継続することが可能になります。

貼付部位のローテーションと管理

同じ場所に連続して貼ると皮膚障害が起こりやすくなります。胸部・背部・上腕・下腹部などをローテーションし、皮膚を休ませましょう。

現場の声と薬剤師の提案

「飲ませるのに苦労していたが、貼り薬でスムーズに」

介護スタッフ

「かぶれが出たが、ステロイドを併用して問題なく続けられた」

ご家族

薬剤師としては、「貼り薬だから良い」「飲み薬はダメ」といった単純な判断ではなく、患者さんと支援体制の状況を踏まえて最適な剤形を提案する必要があります。

まとめ:継続できる形を一緒に探す

貼り薬は、認知症治療の継続性を高めるための一手段として非常に有用です。しかしながら、皮膚トラブルや管理の手間といった課題もあるため、対処法も含めたサポートが重要です。

「どうすれば治療が続けられるか」を一緒に考えること。それこそが、薬剤師の重要な役割だと考えます。

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