【薬剤師×管理栄養士】管理栄養士がいる薬局だからこそできるサポートとは?

生活支援

「薬を飲んでいるのに、なかなか数値が良くならない」
そんな声を、薬局ではたびたび耳にします。

病気を治すために処方された薬。もちろん大切です。
でも、本当に健康になるには、薬だけでは足りない
そう実感する出来事が、薬剤師として日々の現場にあります。

この記事では、薬局でできる食習慣の見直しと生活支援、そして管理栄養士と連携することの効果について、実際の経験を交えながらご紹介します。


薬と食事は同じ口から入る。でも、目的は違う

薬と食事は、どちらも私たちの「口から体内に入るもの」です。
けれども、それぞれの役割や目的は大きく異なります。

  • 薬の役割:病気や症状をコントロールし、改善すること
  • 食事の役割:体をつくり、維持し、病気になりにくい土台を整えること

たとえば糖尿病や高血圧など、生活習慣病と呼ばれる疾患では、薬による治療と並行して、食生活の見直しが欠かせません

薬だけに頼るのではなく、日々の食事を整えることが、長期的な健康につながるのです。


実体験:薬剤師の一言から始まった「本当の改善」

ある日、60代の男性患者さんに、いつものように服薬指導をしていたときのことです。
その方は糖尿病治療薬を服用しており、検査値が思うように下がらないことに悩んでいました。

「カロリー制限も大事ですよ」と、私は糖尿病患者さん向けのパンフレットを手渡しながら説明しました。
すると患者さんは苦笑いしながら、「わかってるんだけどね…なかなかカロリー制限ができなくて」とこぼされました。

そこで私は、薬局に在籍している管理栄養士のことを思い出し、こうお伝えしました。

「もしお時間があれば、管理栄養士と少しお話してみませんか?」

その後、管理栄養士にバトンタッチすると、驚くべきことがわかりました。
患者さんは「カロリーを減らさなければ」と思い詰めるあまり、食事の量を過度に減らしていたのです。
その結果、空腹に耐えきれず間食が増えていたという悪循環が起きていました。

管理栄養士はすぐに、適正な食事量についてアドバイスを行い、ご本人だけでなく、付き添いで来ていた奥様にも具体的なポイントを伝えてくれました。

さらに、「2~3日間、食卓に並んだ食事を写真に撮って見せてください」と提案。
その写真をもとに、1か月後の面談では野菜の量や栄養バランスの調整を行いました。

それからもう1か月後。再び来局した患者さんが、笑顔で報告してくれました。

「このところHba1cが下がってきて、先生にも褒められましたよ」

まさに、管理栄養士の介入がきっかけで改善した症例でした。
薬剤師だけでは気づけなかった視点、患者さんの生活背景に寄り添ったサポートが、実を結んだ瞬間です。


管理栄養士がいる薬局だからこそできるサポート

このように、薬局に管理栄養士がいることで、食事面のフォローが格段に手厚くなります。
薬剤師と管理栄養士が連携することで、より深く、より個別性の高い対応が可能になります。

こんな相談が薬局でできます

  • 糖質制限って、どこまでやればいいの?
  • 市販の弁当で選ぶならどれがいい?
  • 噛む力が弱ってきて…何を食べさせればいい?
  • 食欲が落ちてきた祖母が心配

薬剤師は服薬状況や副作用の確認を、管理栄養士は食生活の評価と提案を担当。
この二人がタッグを組むことで、健康支援の幅がぐんと広がるのです。


薬局で受けられる食習慣・生活支援の具体例

●食習慣のアドバイス

  • 減塩・減糖の実践方法
  • 食品選び(市販品・惣菜・外食のポイント)
  • 一人暮らしや高齢者向けの食事工夫
  • 噛む・飲み込むことが難しい方への対応

●生活支援の一環として

  • 宅配弁当の紹介(高齢者・糖尿病・腎臓病対応)
  • 補助食品・栄養ドリンクの適正利用
  • 食事内容の写真共有による継続的フォロー
  • 地域包括支援センターや訪問看護との連携

生活に密着したアドバイスを、顔なじみのスタッフが行う
それが薬局の強みです。


薬局は「健康の入口」になれる

「体調が気になるけれど、病院に行くのは大げさかも…」
「健診で引っかかったけど、何から始めればいいのかわからない」

そんなとき、薬局は一番身近な医療の窓口になります。
特に、管理栄養士がいることで、相談の選択肢が広がります。

私たち薬局スタッフは、薬をお渡しするだけでなく、
健康を支えるパートナーでありたいと考えています。


まとめ:健康を支える「もう一つの手」

薬は大切です。
でも、薬だけでは健康はつくれません。

「薬と食事は同じ口から入る」
だからこそ、薬の効果を最大限に引き出すためにも、食事のサポートが欠かせないのです。

私たち薬局では、薬剤師と管理栄養士が連携して、
あなたの健康習慣を一緒に見直し、サポートします。

「食べること」は、毎日のこと。
そしてその積み重ねが、未来の健康をつくります。

まずはお気軽に、薬局に相談してみてください。
健康への第一歩は、ここから始まります。

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