薬局は日々、多くの患者さんと接し、処方箋に基づいてお薬を調剤・提供しています。
その中で避けられないのが「クレーム対応」。
本記事では、薬局でよくあるクレーム10パターンと、その対応方法をまとめます。
現場で役立つ具体的な事例と、患者さんへの寄り添い方もあわせて解説します。
1.待ち時間が長い

よくある背景
- 一包化や粉砕など、調剤工程に時間がかかる
- 待たせている間の環境や接客態度が影響し、実際以上に長く感じさせてしまう
対応ポイント
- 見込み時間をあらかじめ伝える(「あと15分ほどでお渡しできます」など)
- 私語や雑な態度は避け、安心感を与える接客を意識
- テレビ、本、雑誌など「待ち時間対策」を用意し、退屈を感じさせない工夫
2.在庫がない
よくある背景
- 薬の在庫不足が発生しても、患者にすぐ伝えず対応方法の検討に時間を使ってしまう
対応ポイント
- まず在庫がない旨をすぐに伝える
- 「いくつか対応案を考えるので、少しお時間をください」と説明
- 感冒やケガなどの臨時処方では、在庫のある同効類似薬を医師に疑義照会して提案する方法もあり
3.ジェネリック変更やメーカー変更の説明不足
よくある背景
- 流通困難でメーカーが変更され、薬の外観やシートが変わる場合がある
- 事前説明がなく、患者が不安を感じて問い合わせをしてくる
対応ポイント
- 投薬時に必ず変更理由と違いを説明
- 外観や包装が変わる場合は、写真や実物を見せながら伝えると安心感が高まる
4.服用方法が違うというクレーム

よくある背景
- 前回と服用方法・用量・剤形が変わったのに説明がなかった
- 医師から説明がなく、患者が混乱する
対応ポイント
- 薬歴を見比べ、変更点があれば必ず説明
- 医師から説明があったか確認
- 患者の認識と処方内容が異なれば、疑義照会で確認しトラブルを未然に防ぐ
5.薬代が高くなった/安くなった理由が不明
よくある背景
- 薬剤や保険の変更で金額が変動しても説明がない
- 金額に敏感な患者ほど不信感を抱く
対応ポイント
- 明細書を見ながら、薬価や自己負担額の変化を説明できるように準備
- 普段から金額変動の理由を把握しておく
6.薬の数が足りない/多い
よくある背景
- 実際に薬局側の渡し間違いもあれば、患者の勘違いもある
対応ポイント
- 投薬時に前回との変更点を確認
- 数が足りない場合はまず謝罪し、在庫確認
- 薬局側のミスであれば、自宅までお届けか元払い郵送
- 患者と一緒に探す姿勢を見せ、見つからなければ医療機関への相談を提案
7.不要な薬が処方されている/必要な薬が処方されていない
よくある背景
- 医師の処方変更を患者が理解していない
- 薬局での説明不足
対応ポイント
- 投薬前に変更点を説明
- 患者の認識と処方内容に相違がある場合は医師へ疑義照会
8.説明不足による不信感

よくある背景
- 何らかの変更があっても、理由を説明していない
- 患者の疑問を放置してしまう
対応ポイント
- 「なぜ変わったのか」を常にセットで説明
- 不安や疑問を聞き取る時間を確保
9.態度が悪い/言い方が冷たい
よくある背景
- 言葉遣いや表情、姿勢が原因で「冷たい」と感じられる
- 患者の訴えが受け止められていないと誤解される
対応ポイント
- 共感の姿勢(目線、うなずき、声のトーン)を意識
- 接遇マナーを定期的にスタッフ間で共有
10.薬を間違えて渡された/服用してしまった
よくある背景
- 入力ミスから調剤・交付まで進んでしまう
- 健康被害のリスクが高い重大事故
対応ポイント
- 速やかに事実確認(処方箋・薬袋・薬品照合)
- 患者に謝罪し、服用を中止するよう指示
- 健康状態を確認し、医師へ連絡・指示を受ける
- 再発防止策を説明し、信頼回復に努める
まとめ

クレームは未然に防ぐことが最も重要です。
そのためには 「事前説明」「情報共有」「共感姿勢」 の3つが鍵になります。
患者さんに安心して薬を受け取っていただくために、日々の対応を見直してみましょう。
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