この記事は以下の人に向けて書いた記事です。
- 認知症研修認定薬剤師の資格を取ってみたい
- 薬剤師として働いているが、何か強みのある薬剤師になりたい!
- 多職種連携というが、実際はどのように行うのか知りたい
この記事で、認知症研修認定薬剤師を取得するために、何をすればいいのか分かります!
私は、令和5年度に認知症研修認定薬剤師を取得しました。
同じ年にキャラバンメイトの資格も取りました。
今は、一般の方向けの認知症啓蒙活動をしながら、本職の調剤薬局で、多職種連携を実践しています。
認知症研修認定薬剤師取得の経験を活かして、後に続くヒトのためにロードマップを公開します!
e-ラーニングで必要な60講座を受講する
日本薬局学会が指定した60個の講座(20単位分)を視聴し、確認テストを受けましょう。
これらの講座は後の認定試験(Web)の試験範囲でもあります。
講座を受けるには、「メディカルナレッジ」の会員である必要があります。
*メディカルナレッジの登録と同時に日本薬剤師研修センターPECSの登録もしておきましょう。
メディカルナレッジ
メニュー→コンテンツを受講→検索→認定制度→認知症研修 の中の講座を60個受講してください。
*令和5年度「認知症総論」「認知症予防学」「長く安全に運転を続けるための認知症予防」の講座はカウントされないようです。
60講座(達成率100%)を終えたら、「終了証(メディカルナレッジ受講証明書)」のダウンロードが可能になります。この修了証は後の認定試験(Web)を受ける際、必要になってきます。
次のステップである「ワークショップ」の申し込みを行います。
申込書に必要事項を記入の上、修了証を添付してメールで送信しましょう。
*申込書は認知症研修認定薬剤師HP上にあります(ワークショップ申し込み)。
ワークショップ(Web)を受講する
数日(3~4日)で、「ワークショップ基礎編」の案内がメールで届きます。
「参加費の請求」と「ZOOMのアプリを取って使えるように」と指示されます。
期日までに参加費の支払い(振込)を行い、ZOOMが使えるようにしておきましょう。
参加費の支払いが確認されるとメールが届きます(支払い後3~4日後)。
「ワークショップ資料」「事前課題」「ZOOMのワークショップURL」の案内です。
- ワークショップ資料・・印刷してワークショップ当日までに目を通しておく
- 事前課題・・グーグルフォームで回答する形になっています*この課題を期日までに回答しておかないとワークショップに参加できません。
- ワークショップURL・・当日ここから入る。ミーティングIDもお知らせされます。
ワークショップ当日、時間までに入室します。
4人1組でチームになり、ワークショップ資料にあったテーマで意見交換をし、1つの成果物を作成します。ファシリテーターと書記の方がいるので受講者は意見を言い合うのに集中できます。成果物をもとに発表しあう感じです。
ワークショップが終わったら次の書類が添付されたメールが送られて来ます。
- 領収書
- 参加証送付先確認入力用フォーム・・「ワークショップ基礎編参加証」後日、来ます
- 事後課題入力URL(グーグルフォーム)・・・ワークショップの復習
郵送されてくる「ワークショップ基礎編の参加証」は後の「Web試験申し込み」に必要です。
ワークショップ基礎編が終わると必要な3単位を獲得したことになります。
ここまでがワークショップ基礎編の流れでした。
同様に、「ワークショップ応用編」も申し込んでおきましょう(流れは基礎編と同じ)。
応用編も基礎編とテーマが異なるだけで基本的には同じです。終われば3単位獲得です。
また同じくらいのタイミングで「症例報告書書き方セミナー」にも申し込んでおくといいです。
こちらは必須ではありませんが、後の症例報告書の書き方で非常に参考になります。
「eラーニング20単位」「ワークショップ基礎編3単位」「ワークショップ応用編3単位」の26単位を獲得して次のステップ「症例報告書」に進めます。
症例報告書を提出して合格する
症例報告書の申し込みの流れは以下のサイトを確認ください。
認知症研修認定薬剤師HP>各種書類>症例報告書の書き方及び提出方法について
ここでは、以下の通り注意点をお伝えします。
①早めに対象患者を見つけておく(一番最初にやっておいた方がいいかも)
②医師や患者家族、ケアマネ、訪問看護、施設職員等と話しやすい関係性を作っておく(早めに)
③薬剤師の介入前後が評価できるように客観的な指標を使う
①早めに対象患者を見つけておく
症例提出期間は1か月もありません(約2週間強)
その期間に対象患者を探して、介入をし、評価して、報告書にまとめなければなりません。
新規で探す、というよりは以前からずっと経過を追える患者様の中から選定する、という形にしないととても間に合いません。
比較的やりやすいのは個人在宅の患者様だったり、施設に入居している患者様をおススメします。
私の場合、施設(グループホーム)の患者様を1人担当させていただきました。
②医師、ケアマネ、訪問看護、施設職員等と話せる関係性を作っておく
これも①と同時か、それ以前からあるに越したことありません。
この症例報告は「多職種連携」があるかどうか問われています。
医師をはじめ多職種とコミュニケーションできるか。
介護者に聞き取りがあったか、提案できるか、実行できるか、その結果どうだったか、再度聞き取って、症例報告書にまとめる必要があります。このコミュニケーションが取れないと中身のない報告書として評価されます。
聞き取りもせずに「疑義照会」だけじゃ介入したことになりません。
では、どのように介入するかというと以下の通りです。
介入前の状況を聞き取る(家族や施設職員など介護者)
状況を受けて、薬学的にどのように介入するか決める。多職種の方とも共有する。
介入方法を実行する(往診同行時の提案、疑義照会やトレーシングレポートなど)。
介入後の変化を聞き取る(家族や施設職員など介護者に)。
変化があったかどうか評価して症例報告書にまとめる。
私の場合、施設の介護リーダーと往診同行の医師に「認知症研修認定薬剤師に必要な症例を取りたいので、ご協力お願いします。」と伝えました。
特に、介護リーダーとの情報共有は密に行いました。
この患者様は、ここが問題点で、医師にこのように処方提案するので、その後の変化を教えてください、など。
③薬剤師の介入前後が評価できるように客観的な指標を使う
「症例報告書き方セミナー」に参加すると客観的指標を使って評価するようにアドバイスされます。
客観的指標とは「数値化」する事です。
数値化するためにどのような書式があるのでしょうか。おすすめは以下に通り。
私の場合、一番最後のABSを用いて介入前と介入後をスコア化しました。
ABSを選んだ理由は、施設職員に聞き取りで数値化できるから。
介入は往診同行時の医師に処方提案をする、とし、
介入前のABSを介護リーダーに聞き取る。介入後、数週間を経てABSを介護リーダーに聞き取る。
その変化を症例報告書にまとめました。
ここで大事なのは、介入後に変化があったかどうか、ではありません。
変化があったら、それが「なぜ」なのか。変化がなかったのなら、それが「なぜ」なのか。
その「なぜ?」を評価して、書面に落とし込めるか、が大事なのです。
期日までに提出すると、「査読」を受けます。
査読の結果はメールで来ます。一発で「合格」する場合と「再提出」になる場合があります。
合格すると次の「WEB試験」に進めます。
再提出は、さらに期日を設けられ、査読の「指摘事項」に答える形で症例報告書を修正し、メールで再提出です。再提出は1回のみ。
私は「再提出」でした。指摘事項を直して、その後「合格」の連絡がありました。
一番目の山がこの「症例報告提出」でした。
合格したら、WEB試験のための申し込みをしましょう。
認定試験(Web)を受けて合格する
認定試験の申し込みに必要な書類は以下の通りです。
メール添付か郵送でも可能です(私は各証明書をスキャナで通してメール添付しました)
- 認定試験申し込み書
- メディカルナレッジ受講証明書
- ワークショップ参加証(基礎編)
- ワークショップ参加証(応用編)
- 合格した症例報告書
- 振込証明書(受講料11,000円税込み)
支払いが確認されると認定試験(Web)の案内がメールで届きます。
オンライン学科試験なので、当局から事前にZOOM接続の確認をされます(不正防止のため、携帯電話でZOOM接続確認があります。試験を解くのはパソコンです)
出題範囲もメールの案内文に記載されてきます。
試験は120分。試験問題はパソコンのグーグルフォームで回答していきます。
不正防止のため、自分の試験を受けている姿をスマホのZOOMで当局に見せながら行います。
合格発表は試験日の3日後。
日本薬局学会・認知症研修認定薬剤師のホームページで発表されます。
面接試験(実地またはWeb)を受けて合格する
ここまで来れたらあと一息!
第17回日本薬局学会学術総会と同日・同会場で行われました。
受験票
査読を受けた症例報告書
受付で受験票のチェックを受けます。
その後、控室で待機。受験時刻の20分前には控室にいるように受験票に案内が書いてありました。
面接官は2名。
面接時間は10分少々でした。
入室して、所属と氏名を名乗ります。
椅子に座って、症例報告書の「概要」を2分程度で話すよう言われます。概要なので、症例報告書の「要旨」を伝えられれば良いでしょう。
その後、面接官からいろいろ質問されます。
回答がわからない質問もありましたが、面接官に逆に質問して、「勉強になりました」「気づきがありました、ありがとうございます。」と結んで切り抜けました。
合格発表は3日後(10月11日)。
合格していれば、認知症認定薬剤師研修制度のHPに受験番号がアップされます。
17人受験して、15人合格していました。
合格後の流れ
合格しても、まだ認知症認定薬剤師になれません。
認知症認定薬剤師になるために以下の手続きが必要です。
日本薬局学会の正会員になる
認知症認定薬剤師になるための申請書類を提出する(R5年度は10/24から受付開始)
日本薬局学会の正会員になる必要があります。Web上(会員登録)で申しこむと、会員費の支払いの案内が書面で届きます。会員費(5,500円)を振り込みます。会員証を発行するために、日本薬局学会のホームページに「会員番号」と「パスワード」を打ち込むと会員ログインできます。WEB会員証を印刷すれば用意できます。
認知症認定薬剤師申請の受付開始が10/24からでしたので、合格発表が分かってからすぐ学会入会の手続きすれば問題ないと思います。
認知症認定薬剤師申請の手続きには以下の書類を添付してメールして送信、また郵送で行います。
提出期限は合格認定証に記載の有効期限までに提出します(期限は12月上旬でした)。
- 薬剤師免許証の写し
- 認知症研修認定薬剤師試験合格認定証(郵送できます)
- 認定薬剤師の認定証
- 日本薬局学会の会員証
- 認定申請料(11,000円) 振込明細
私は上記書類をメール添付で提出しました。
メール添付の場合、スキャナで通してすべてPDF化しないと受け付けてもらえません。
添付書類をメール提出したら、約1か月くらいで「認定証書」「バッジ」「ステッカー」が郵送されてきます。これで晴れて「認知症研修認定薬剤師」と名乗れます!
おわりに
いかがでしたでしょうか。
自分の備忘録な感じで書いた部分がありますが、令和5年度は以上のような流れで取得できました。
この資格を、社内研修の研修講師や認知症サポーター養成講座講師の権威付け、地域住民に向けた研修会などに今後活かしていこうかなと考えております。施設や地域包括支援センターの方々と連携するきっかけになります。
取得後は更新のための活動も行う必要があります。
3年かけて必要な単位数10以上とらなければなりません。取ったら終わりではないんですね。
このブログが認知症研修認定薬剤師を取ってみたい、と思った薬剤師の方々の一助になれば幸いです。
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