「人手はいるのに、なぜか薬局が回らない」
「忙しいのに、何に忙しいのか分からない」
「指示しているのに、なぜか現場が混乱している」
このような声を、薬局長から頻繁に聞きます。
現場の混乱や非効率を、“忙しいから仕方ない”と片付けていませんか?
実はその「回らない状態」の本質は、業務の多さではなく、業務構造の乱れにあるのです。
本記事では、「回らない薬局」から脱却するために薬局長が取り組むべき、3つの優先順位をご紹介します。
目次
優先順位①:業務の“見える化”と“役割の整理”

現場が回らないとき、まず真っ先に取り組むべきは、誰が何をどこまで担っているのかを「見える化」することです。
たとえば…
- 処方箋入力 → 誰がどこまで?
- 発注業務 → 誰が主担当?不在時の代替手段は?
- 面対応中のフォロー → 誰が気づき、誰が支援する?
こうした属人的な運用が多くなると、
「Aさんが休みの日はうまくいかない」「新人が入った途端に回らなくなる」といった事態が頻発します。
- 業務フロー図を作成する(ポストイットでも可)
- 役割分担表を週単位で見直す
- 一つの業務に「主担当・副担当」を設定する
一見地味な作業ですが、この“可視化”と“役割の再構築”が、現場力の土台になります。
優先順位②:現場の「意思決定」を整える
現場の混乱には、意思決定の曖昧さが大きく影響します。たとえば…
- 繁忙時に誰がヘルプを呼ぶのか?
- クレーム時の対応判断は誰が下すのか?
- 在宅・配達業務の優先順位はどうするのか?
こうした判断が現場の誰にも委ねられている状態は、逆に「判断できない空気」を生みます。
その結果、何も決められず、判断を後回しにするうちに現場が崩れていくのです。
- 判断基準(優先順位やルール)を共有する
- 緊急時の「3段階対応」などを決めておく
- 毎日の朝礼や終礼で判断の統一を意識する
薬局長が「全ての判断を自分で抱え込まない」ためにも、
現場メンバーに判断権を“委ねる仕組み”が必要です。
優先順位③:薬局長の“立ち位置”を変える
ここが最大のポイントです。
薬局が回らない状態を解決しようと、薬局長自身がプレイヤーとして補填しすぎているケースが非常に多いのです。
現場に入ることは大事ですが、いつも薬局長が「穴埋め要員」になってしまうと…
- 全体を見る余裕がなくなる
- マネジメントが後回しになる
- スタッフの成長機会が奪われる
結果的に、さらに回らない状態が加速してしまいます。
- 「今日は現場に入らない日」を明確に設定する
- 薬局長自身が“現場の指揮者”である意識を持つ
- 事務や薬剤師に「一段上の役割」を任せる練習をする
現場に入らずに指示を出すのは、最初は勇気が要ります。
しかし、薬局長が一段上の視座で動くことで、
現場に“判断と工夫の余白”が生まれ、自然と回る組織に変化していきます。
結論:構造を変えれば、薬局は自然に回り始める

「忙しい」「人が足りない」「手が回らない」
これらの声の背景には、業務の構造そのものの歪みがあります。
そこに対して、場当たり的な応援や声かけだけでは根本改善にはなりません。
薬局長がまず取り組むべき3つの優先順位は以下の通りです。
- 業務の“見える化”と役割の整理
- 意思決定の仕組みを整える
- 薬局長自身がプレイヤーからマネージャーへと立ち位置を変える
“構造”が整えば、“現場”は自然に整います。
薬局長というポジションは、単なる「何でも屋」ではありません。
「仕組みを整える人」「人と業務の流れをデザインする人」なのです。
まずはあなたの薬局で、どこに“構造のひずみ”があるのか、立ち止まって見直してみませんか?
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