【新入社員薬剤師】新人のうちにやっておきたい5つのこと

ビジネススキル

薬剤師として社会に出たばかりの1年目は、学びのスピードも吸収力も高い“伸びしろの宝庫”です。
一方で、調剤・投薬・薬歴・在庫管理など覚えることが山のようにあり、「目の前の業務をこなすだけで精一杯」という方も多いでしょう。

しかし、この新人期間は一生に一度きり。
この時期に意識して行動することで、その後の薬剤師人生が大きく変わります。

ここでは、経験豊富な薬局薬剤師の立場から、新人薬剤師が「今だからこそ」やっておきたい5つのことをご紹介します。


1. 基本動作を“体に染み込ませる”

薬剤師の仕事は正確性が命です。新人のうちは、「スピードより正確性を優先する」ことが大切。
スピードは経験を重ねれば自然と上がっていきますが、正確性は一度のミスが大きな信頼低下につながります。

具体的に身につけたいこと

  • 調剤手順の固定化
     処方鑑査 → 調剤→ 最終鑑査のルーチンを定着させ、確認ポイントを自分の中で明確にする。手順を一定化させることで、間違いがあった場合、何を逸脱したのか分かります。
  • 薬歴の操作と記載力
     システムの操作方法をマスターし、アセスメントを自分の言葉で書けるように練習。サマリーは定期的に更新する習慣を持つ。
  • 調剤機器の使いこなし
     散剤分包機、自動錠剤分包機、監査システム、秤量器具などを正確に使えるように。軟膏は自動化が進んでいますが、手練りの軟膏ミックスも経験しておくと後々役立ちます。
  • 対物業務の全体経験
     医療事務さんが担当するアシスタント業務も、将来教える立場になることを想定し、投薬に出る前に一通り経験しておく。

新人期に“正しいやり方”を体に染み込ませておけば、2年目以降の成長は格段に加速します。


2. 「なぜ?」を必ず持って仕事をする

新人のうちは「言われたことをやる」だけになりがちです。
しかし、成長する薬剤師は必ず背景を理解しようとする姿勢を持っています。

例:

  • 「なぜこの薬は朝だけ?」
  • 「なぜこの患者さんはジェネリックを使っていない?」
  • 「なぜこの配合は粉砕できない?」

単に覚えるより、「理由(なぜ?)」を理解することで記憶が長持ちし、応用力も身につきます。
わからないことはその日のうちに先輩に聞くか、自分で調べて記録しましょう。
私は新人時代、疑問メモ帳を作って週末にまとめて調べる習慣を持っていました。これが後の薬剤師試験の再確認にも役立ちました。


3. 患者さんと“短時間で信頼関係”を築く練習

薬剤師は薬だけでなく、人と向き合う仕事です。
患者さんは「説明の上手さ」よりも、「話しやすさ」「安心感」で信頼を寄せます。

信頼構築のポイント

  • 投薬業務に出たら必ず自己紹介をし、患者さんの名前を意図的に入れながら、会話を進める。
  • 開口一番で患者さんの様子を観察(疲れていないか、表情の変化は?)
  • 話をさえぎらず、まずは聞く
  • 「〇〇さんの場合は…」と相手に合わせた説明をする

このスキルは経験でしか身につきません。
多少ぎこちなくても、「感じがいい薬剤師だな」と思ってもらえることが新人期は何より大切です。


4. 他職種との関わりを怖がらない

薬局で働いていると、医師・看護師・ケアマネジャー・管理栄養士など、多職種と連携する場面があります。
新人薬剤師の多くが「何を話したらいいかわからない」と感じますが、これは大きな成長のチャンスです。

実践例

  • 医師に処方意図を確認する時は「患者さんがこうおっしゃっていましたが、服薬はこのままでよろしいですか?」など患者情報を交えて質問
  • ケアマネや訪問看護師には残薬状況や服薬困難の情報を共有
  • 栄養士とは食事制限やサプリ使用の情報をすり合わせ

連携がスムーズになると、薬局の信頼度が一気に上がります。
私の場合、新人時代のこうしたやり取りが、後に在宅医療の担当や地域連携の中心メンバーになるきっかけになりました。


5. 自分なりの“勉強ルーチン”を確立する

新人のうちは情報量が膨大で、「何から勉強すればいいのかわからない」という悩みが出ます。
重要なのは習慣化できる形を早く作ることです。

効率的な学び方の工夫

  • 関連付けで覚える
     例えば「カンデサルタン錠」➡「他のARBは?」➡「オルメサルタン錠だ」➡「他には?」と連想して広げる。
     薬の成分名の語尾で系列を推測できるようになると理解が深まります。
  • マインドマップの活用
     薬効ごとにマインドマップを書き出し、成分名や特徴を視覚的に整理する。
  • 1日1薬ルール
     その日扱った薬を1種類選び、効能・副作用・相互作用を調べてノート化。
  • 月1テーマ学習
     糖尿病、心不全、認知症など疾患単位で集中して学ぶ。
  • 情報インプット習慣
     DI配信メールや学会情報を通勤中にチェック。

1年続けると、知識の土台ができ、2年目以降の成長スピードが格段に上がります。


まとめ:新人時代は“動きながら考える”

新人薬剤師の1年目は、「できない自分」との向き合い方でもあります。
自信が持てず、失敗して落ち込むこともありますが、
「動きながら考える」姿勢さえあれば必ず成長できます。

5つのポイントを意識して過ごせば、

  • 基礎力が身につく
  • 信頼される薬剤師になれる
  • キャリアの幅が広がる

新人期間はあっという間に終わります。
今だからできることを、全力で積み重ねていきましょう。

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